かんぽ生命だけが何故上方修正になるのか?

保険や投資信託の不正販売問題が大きなニュースになっている日本郵政(6178)ゆうちょ銀行(7182)かんぽ生命保険(7181)の9月中間決算、2020年3月の業績予想の修正などが発表されました。

この中で、かんぽ生命の上方修正が発表され、パッと見だと「あれだけの問題を起こしておいて、保険販売も自粛中で何で上方修正になるの?」と思う人もいるようです。

また、「新規契約34%減・・・」というニュースにも、まだそんなに入る人がいるのか?と思う人もいるようです。

私も細かい数字まで見てないので、かなりざっくりした話ですが、なぜそんなことになるのか簡単に書きます。

かんぽ生命の上方修正

新規契約減による支払手数料の減少

簡単に言うと、販売自粛で新規契約がほとんどとれていないためです。そのため、販売の主要窓口である日本郵政へ支払う販売手数料が激減しています。

保険という商品は、売った時に利益が出る商品ではなく、契約期間中ずっと利益を回収していくものなので、新規加入の1年だけを見ると手数料負担の方が大きいです。

販売自粛以降の契約が激減しても、既契約全体に占める割合は数%程度であるため、全体としての減収額は数%しかなく、新規契約が無くなって減少した販売手数料支払いの方が大きいので増収となりました。

短期的に見ると増収ですが、営業再開後に契約数が戻らなければ、既契約の満期が進むのに合わせて急激に収益が悪化することが予想されます。ただそれは2021年以降のことです。

一方で、販売自粛が継続されると新規契約による手数料負担減が継続し、2020年3月期だけでみればさらに上方修正になる可能性もあるということです。

細かく見ると他にも要因はあるでしょうが、上方修正の一番の要因はこれです。あくまでも短期的なものです。

不正販売の影響

今回の問題に対する費用として、10億円程度を計上しているようです。これについてもまだ仮見積もり状態なので、今後の調査進捗次第で変わってきます。増えることは有っても減ることはないでしょう。

現実問題こんな額で済むはずは無い気がしいますが、現時点で見積もれないと言われればその通りです。

敢えて今の時点で高く見積もる必要も無いという判断があるのでしょう。

日本郵政やゆうちょ銀行は

一方で日本郵政は販売手数料が収益源なので、新規販売を取らないと直ぐに利益が減少します。ゆうちょ銀行も、投資信託の販売手数料を収益源としているので、新規で契約できないと直ぐに収益に影響してきます。

収益構造の違いが3社による今回の発表内容の差と、上方修正への違和感の要因です。

保険自体は契約を積み上げて利益を出すストックビジネスのため、すぐに収益に影響しなかったというだけです。

新規契約34%減

今回の集計期間は、2019年4月から9月です。販売自粛になったのは7月中旬ごろからだったと思うので、それまでの3ヶ月ちょいは普通に販売しています。

よって、販売自粛以降だけで見れば9割減とかになり、ほとんど新規契約を取っていない状況となります。

各記事の本文を読めば書いてありますが、件名だけを見ると受け取り方が変わってきそうです。

34%減は正しいのだけど、表面的に読み取ると誤解をしてしまうかもしれません。

少なくともこの状況が年内まで続き、本当に年明けに再開できたとしてもどこまで販売が戻るのか?

株価はどうなるの?

そんなことがわかったら苦労しません。

単純に飛びついて反応する人もいれば、深読みして反応する人もいたり、長期的に考えて反応する人もいたり、ハッキリ言ってわかりません。

個人的には、今回上方修正を出したら滅茶苦茶批判されかねないので、もっと引当金を積んで控えめな決算にしておけばと思ったり。

一方で、短期的にわざとサプライズにして株価を釣り上げて、公募で買った人たちの不平不満を軽くしたいのかと思ったり。

色々な思惑があるので、それをどう読んで買うのか売るのか手を出さないのかは自己判断で。

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