個別銘柄について考える
持続的な成長について評価するのは難しい問題になるので、取りあえず手っ取り早く取れる対応について考えます。
村上開明堂(7292):0.45倍
こんな会社です。
- 東証S
- 自動車バックミラー最大手
- トヨタ、スバル等
- PER 7.6倍
- PBR 0.45倍
- ROE 5.74%
- 配当利回り 2.61%
- 増配傾向
- 時価総額 351億
- 有利子負債 16億
- 現金等 337億
- 創業一族で約25%保有
- 村神様でWBC時異常高
- 菓子屋じゃない
自動車部品銘柄は全体的に低PBRの宝庫です。EV化、自動運転など変化が激しくなる中、村上開明堂も自動運転時代にミラー必要か?という懸念があります。
とはいえ、それ以前からの万年割安株なので、対話・PRが不足しているのは事実でしょう。京都に「村上開新堂」というお菓子屋さんがあるようですが、村上開明堂と聞いたときにお菓子屋か?と思う人も多いでしょう。
村上開明堂は、業績は安定していて利益率もそこそこあるのに300億の現金を貯め込んでいるためROEが低くなっている感じ。
村上開明堂が手っ取り早く取れる手は、
- 増配
- 自社株買い
- 株主優待新設
- 上場廃止
こんなところかな。あとおまけで株式分割。
増配
ここ数年、増配を継続していて評価できますが、それでも配当性向20%弱程度。業績の安定性や財務鉄壁状況を考えると、30%程度まで増やしても問題ないでしょう。できればそれ以上で。
自社株買い
自社株買いは浮動株の少なさを考えると難しいかな。売買も少なすぎるので市場で買い付けられない。大株主から売却希望があれば喜んで買い取るだろうけど、どこもこんなに安く売らないでしょ。
株式分割
流動性を高めるために株式分割って程株価が高くないけど、1:2分割くらいはしてもいいかも。100株で30万円を超えてくると、一般個人投資家は気軽に買いにくくなる気がする。特に何の面白みも無い超地味系中小型低配当株なんて。
株主優待新設
株主優待の新設は会社の知名度向上には効果あり。東証Sで個人向けの商売をしている会社ではないので誰も知りません。FCCみたいな200株1年以上で静岡県特産品みたいなのでちょっと金額高めな商品を設定しておけば、優待雑誌やSNSでのPR効果で元は取れるでしょ。
優待設定+高配当でも低PBRに沈んでいる自動車部品銘柄は多いけど、多少は改善効果があるだろうから検討してみる価値はありそう。
上場廃止
創業一族の資産管理会社が14.2%、社長の村上太郎氏が11%保有なので、ザックリとあと25%ほど集めれば過半数を取れます。協力的な安定株主も多そうだから価格次第ではMBOで上場廃止は可能でしょう。
ただ上場企業としてのメリットもあると思うので上場廃止は可能性が低いかな。以前の基準なら東証1部へという選択肢も有ったけど、現状の東証P基準を考えるとちょっと厳しい。
その他
すぐにできる対応では無いけどM&Aに資金を使うってのも有り。少し前にミツバから大嶋電機製作所を買収してスバル向け70万台分を上乗せしたけど、300億にほとんど影響して無いので安い買い物だったっぽい。
本来であれば成長投資ということで株価が上昇すればPBR向上したんだろうけど、あまりにも同業過ぎてさらに割安度を高めただけなのか?
手っ取り早く取れる手はいくつかあるけど、PBR1倍までは至難の業。ただ0.45倍は流石に事業価値ゼロレベルなので、取りあえずの短期的な対応でも0.6倍くらいまではいくのでは?
そこからPBR1倍までとなると成長分野へ新規投資して、それが花開きそうという状況にならないと難しいかもしれない。そこを継続的に考えていきなさいってのが東証のメッセージ。ドアミラーって将来どうなるんだってのは社内で散々議論されているだろうから、そのあたりの将来展望や会社方針を丁寧に説明して、実際に結果を出していくのがPBR改善への地道な取り組みかな。
コメント
自動車部品メーカーは確かに指標的に割安のところが多いですね。
個人的にはトヨタとかSUBARU、マツダなどは売買対象にしていますが、部品メーカーはデンソーとかアイシンのような幅広い取り扱いがあるところ以外の特定のパーツ専業のようなところはスルーしています。結局、納入する自動車メーカーの評価を上回ることは例外をのぞいてはないように思うので。
ただ、安定的に業績が推移しているのなら、装置産業的な側面はあるにしろ、配当性向20%、総還元性向でもいいですが、はやはり低いかなとは思います。
優待は「不公平」ですが、それで株価インパクトがあって株価がかさ上げされる分があるなら、対コスト比のパフォーマンスというか投資効率は悪くないかなとも思いますね。
ドアミラーは方向としては、カメラとセンサーとモニターに変わって、車から耳のように飛び出している形のものはだんだん減少はしていくのでしょうね。
電子ミラー化よりも自動運転の方が先に来るような気がしてて、そうなると完全にミラーは消えかねないけど、一気に置き換わるものでは無いので当面は大丈夫かと。
ただこの手の専業系部品会社に抜本的・継続的なPBR対策をしなさいと言っても難しいでしょうね。
村上開明堂はトヨタ・スバルだけど、他はジーテクト、エフ・シー・シー、テイ・エス テックとホンダ系が多いのは、ホンダ車の将来性不安が大きくて割安度が高め、一方で2輪もあるからそれなりに業績は安定しているということかも。