低PBRについて考える:ノーリツ鋼機(7744)

個別銘柄の低PBRについて考えてみます。2社目はノーリツ鋼機(7744)。かなり不思議な会社です。

持続的な成長について評価するのは難しい問題になるので、手っ取り早く取れる対応について考えます。

ノーリツ鋼機(7744)

ノーリツ鋼機(7744)とは

こんな会社です。

会社概要

  • 東証P
  • 持株会社
  • AlphaTheta:DJ機器
  • JLab:オーディオ機器
  • テイボー:ペン先

会社名からは全くイメージできない持株会社となっています。主な会社は上記3社。他にも出資している会社があります。

指標など(株価 2208円計算)

  • PER 18.29倍
  • PBR 0.41倍
  • 配当利回り:2.22%
  • 時価総額 798億
  • 有利子負債 480億
  • 現金等 964億
  • JMDC(4483)885万株:400億

オムロンにJMDCを売却した売却益がまだたっぷり残ってます。さらに885万株(15%)保有しています。

過去2年は特別配当があったため配当利回りが高かったのですが、今期は通常配当のみで予想配当利回りは低くなっています。

現金 964億 ー 負債 480億 + JMDC 400億 = 884億 > 時価総額 798億

保有している会社の事業価値はマイナスってことですか?

ちょっと意味が分かりません。

その他

  • プリメディカ上場準備中
  • 祖業は写真現像

プリメディカという予防医療検査サービスの会社を保有しています。プリメディカは上場方針が明らかにされています(2022年2月)。

株式会社プリメディカ | 予防医療と最先端医療技術
医療の、未来へ。PreMedica エビデンスに基づいた「予防医療」。医師と共に創造する「最先端医療技術」。健康で豊かな社会生活の実現に、プリメディカは貢献します。

どの程度の価値があるかはわかりませんが、既に黒字なので準備が整い次第、IPOに進むと思われます。

社名のノーリツは写真現像工程の「能率化」に由来しています。元々は「ノーリツ光機製作所」でした。写真関連事業は2016年に譲渡して完全撤退済み。

PBR改善のために

ノーリツ鋼機のPBRが低くなる理由はJMDCの売却益で膨れ上がった現金964億の影響が大きいです。長期的にはM&Aなどによる成長投資を計画しているようなので、小手先の短期的な改善策を選択する可能性は低そうです。

 

それだと話が終わってしまうので、勝手に色々と考えてみます。

ノーリツ鋼機が手っ取り早く取れる手は、

  1. 社名変更
  2. 増配
  3. 長期借入金の返済
  4. 株主優待新設
  5. 自社株買い(上場廃止)

こんなところかな?

社名変更

祖業の写真現像関連が完全に無くなっているので、事業再編で「ものづくり」企業としたとはいえ、社名と事業内容が結びつかなくなってます。

ただ「鋼機」を外して「ノーリツ」としてしまうと全然別の東証P企業と同じ社名になってしまうし、フィルムなんてもう無いじゃんっていう「フジフイルムHD(4901)」と同じ路線を走るのでしょうか?

ただノーリツ(5943)と社名がややこしいから変えてもいいと思う。

社名で企業価値が上がるのか?

・・・さぁ。

増配

過去2年の特別配当が大きすぎて急に減ったように見えますが、今期の49円配当予想は配当性向で4割程度なのでかなり出している方です。

適当なM&A先がすぐに無いようであれば再度特別配当も有りでは?

ただ今回のように配当を戻したとたんに株価が低迷して、万年低PBRになるかもしれないので効果は限定的かな。

長期借入金の返済

手持ちの現金を遊ばせておくくらいなら一旦返済して、必要になった時に再度借りればいい気がするけど・・・。

そんな面倒なことをするまでもなくM&A先を探し出してこれるかどうか。

株主優待新設

株価を多少上げる効果はあるだろうけど、大きく改善する効果は無いでしょう。

JLabの自社製品を優待にできるけど・・・しないでしょう。

自社株買い(上場廃止)

ノーリツ鋼機の大株主を見ると

  • サンクプランニング 41.4%
  • 西本佳代 6.6%

サンクプランニングは創業家の資産管理会社で、代表は西本佳代氏なので、実質48%を創業家が持っている状態

創業家の意向次第で簡単に上場廃止にできるくらいの株数を保有しています。

創業家の割合がさらに高まる自社株買いは実施しにくいでしょう。

 

  • AlphaTheta:DJ機器
  • JLab:オーディオ機器
  • テイボー:ペン先

この主要な3社は海外売上比率が高く、ノーリツ鋼機の名前を出して商売しているわけでもなく、ノーリツ鋼機が上場している必要性は全く無いと思います。

2008年に会社提案人事をひっくり返し経営陣を総入れ替えしたように、創業者の一人娘である西本氏の意向が絶対という株主構成

正直なところ、この株主構成が続く限り少数株主の意向は全く反映されないので、市場での価値が高まることは無いと思われます。

2008年にもMBOを検討していたようなので、東証からゴチャゴチャ言われるくらいならMBOしてしまったらと思います。

まとめ

手っ取り早く取れる手はいくつかあるけど、創業家の意向が全てという株主構成のままでは何をやってもPBR1倍は遠そう。投資会社を目指しているようにも見えず、上場している必要性が感じられない。

株価低迷している間にMBOで上場廃止にし、後はもう今の体制を維持するなり、切り売りしてお金を回収するなり、好きにしてもらえればって感じ。

少なくとも私はそれを期待して保有しています。

コメント

  1. 伏見の光 より:

    ミニラボの会社でしたよね。今はなんなのか、さっぱりわからず・・・。
    謎が多いです。

    • すぎじゅん より:

      2000年より前の投資始めたころにミニラボ会社としてチェックしたことはあったのですが、完全に謎会社になりましたね。

      創業家がノーリツ鋼機の経営に直接関与してないのに実質的に支配しているという状況で市場価値が高まるわけないです。